『百万畳ラビリンス』上巻
最近、読んだ漫画で群を抜いて面白かった『百万畳ラビリンス』をご紹介。
例のごとくあらすじを公式文でどうぞ。
人と関わるのが苦手な礼香はゲーム会社でバグ探しのアルバイトをしていたが、ルームメイトの庸子と共に木造迷路に迷い込んでしまい!?ミステリーファンタジー! (C)たかみち/少年画報社
画像の右が礼香で左が庸子(注: 女性)。本作の主人公です。
ゲームのバグって実は結構、魅力的じゃないですか?
ゴールの向こう側は、開発者も予期しなかった、想定外の世界。
それを漫画にしちゃったのが本作。
現実世界の裏側に迷い込んでしまったふたりが、斬新なアイデアを駆使して表側に脱出しようとするのが本作のストーリー。
異世界に迷い込んでしまうっていうのはわりとよくあるシチュエーションなのですが、本作で特徴的なのは「木造迷路」であることと、「ゲームのバグ」のようなものが存在していることです。
舞台は親近感のわく木造建築。九龍城のようなスラム感もたまらないポイント。
ゲームのバグというのは、例えば階段の上下が繋がっていて無限階段になっている箇所があったり、高所から落ちても死ななかったり。
バグというよりはゲームのシステムをうまく利用する、といった方が近いのかもしれません。
(そもそも、この世界のどこまでがシステムで、どこからがバグなのか微妙なところではあります)
■主人公ふたりの見る世界の違い
礼香はコミュ障で、変なことが大好き。
服を着てシャワーを浴びたり、現実世界でも秘密の通路を探したり。
いわゆる変人。
それゆえにこの現実世界の裏側は魅力的に映ります。
一方、庸子は現実世界に彼氏がいるのもあって表側への脱出を強く望んでいます。
このふたりの考え方の違いがときに衝突を生んでしまいます。
そのとき大事になるのはお互いの理解、人にはそれぞれいるべき場所があるということ。
向いている場所、向いていない場所、自分は自分で他人は他人。
ただ、その枠組みを越えた友情は確かに存在する。
この葛藤がふたりの間に存在しているのが、本作に不思議な奥深さがある理由だと思います。
確かに舞台や設定は面白いけれど、登場人物が薄っぺらかったり、伝えようとするテーマがないと真に魅力的な物語にならない、というのが私の考えです。
最近、本や映画、アニメにたくさん触れて、重要なのはそのコンテンツで「何を伝えたいか」なのだと気づきました。
何のためにそれをやるの?
そう常に自分へ問いかけることで、最高のコンテンツを作り上げることができるのだと思います。
よーし。明日からも仕事がんばるぞ。
(最後の最後で薄い)